

蒸留所の建設地選定は、プロジェクトの出発点でした。
当時の島岡は、清らかな水を育む浅間山麓の地域を中心に、ウイスキー造りに最適な場所を探していました。気候や水質、自然環境や地域文化など、さまざまな要素を考慮しながら、いくつもの土地を見て回りましたが、なかなか納得のいく場所に出会えずにいました。
土地を探しはじめて5年。成果のないまま、また1年が過ぎようとしていた2019年の晦日。はじめてこの地に足を踏み入れた島岡は直観しました。「ここだ!」。
そこから島岡は、この土地が引き寄せたかのように、運命的な出会いを果たします。
相手は、世界的なブレンダーであるイアン・チャン。画面越しに、小諸の魅力を熱っぽく語る島岡の言葉ひとつひとつに頷き、出した答えは「I‘m in!」(一緒にやろう!)。
「KOMORO」が誕生した瞬間でした。コロナ禍で、世界が止まったかのような中にあって、小諸蒸留所のプロジェクトは、二人の熱い想いで始まったのです。
それから間もなく、二人の想いを分かち合い、応援する人の輪が徐々に増えていきました。
島岡を最も近くで支え、インベストメントメンバー且つ戦略家でもある島岡良衣や、チャンと長年の友人で、ウイスキー業界のエバンジェリストとも言われるエディ・ラドローもそうした中の一人です。
夢を抱いた若手も多く集まってきました。
また、小諸市役所をはじめ、地元の人たちも、私たちの想いに共感し、全面的に応援してくれました。
二人の想いで始まった小諸蒸留所のプロジェクトは、複雑な地形による工事の遅れ、コロナ禍の影響、資材の高騰、輸送の遅れなど、さまざまな困難に見舞われながらも、多くの人々に支えられ、これらを乗り越えることができました。
そして今、世界が注目する「KOMORO」として、夢の舞台に大きく羽ばたこうとしています。
茶道や武道など、日本古来の「道」文化には「守・破・離」とういう言葉があります。これは、修練における成長過程を表す言葉で、「守」は、師の教えを忠実に守り、基本の型として習得する段階、「破」は、他にも良いものも模索し基本の型を応用する段階、「離」は、独自のスタイルを確立しさらに発展する段階とされます。
イアン・チャンにとっての師は、「ウイスキー業界のアインシュタイン」とも称されるレジェンド故ジム・スワン博士は、カバラン(台湾)、キルホーマン(スコットランド・アイラ島)、ペンダーリン(ウェールズ)など、時代の先端をいく数々の蒸留所の立ち上げや革新的な製造工程の開発を支援しました。
チャンは、10年以上スワン博士に師事し、その間くる日もくる日も、只ひたすら学び続けました。
チャンは、この頃のことを、乾いたスポンジが猛烈に水を吸収するようだったと振り返ります。
チャンにとって小諸蒸留所での挑戦は「破」。
小諸の清らかな水でできた初めてのニューメイクが「KOMORO」として羽ばたく頃、きっと自身の「破」が結実するだろうと、チャンはいいます。
そしてチャンには、もう一つ成し遂げたいことがあります。
それは独自のウイスキー造りのスタイルを確立し、次世代に継承すること。
30~40年間かかる「守・破・離」のサイクルを、世代を超えてつないでいくことができれば、この小諸蒸留所で、「KOMORO」は発展を続け、永遠に豊かな時を刻んでいくことができるからです。
小諸蒸留所の特注のポットスチルから流れるスピリッツの一滴一滴は、スワン博士の偉業に対する敬意やチャンのウイスキー造りへの想いを表すとともに、次世代、次次世代へとエールを送っているのかもしれません。
簡素の美と時間の経過が織りなす趣。「KOMORO」のウイスキー造りには、日本の伝統的な美意識と共通する価値観があります。
ウイスキーを構成する原料は、水、大麦麦芽、酵母の3つ。とてもシンプルな原料にも、こだわり、突き詰め、丁寧に時を重ねることで、素材の可能性が無限に広がります。
小諸の清らかな水は、クラフトマンの手によって豊かな味わいを紡ぎ出し、ニューメイクとなります。そして、その生まれたてで無色の液体は、「KOMORO」の真骨頂である特別の樽に詰められ、命の水として最高の瞬間を待つのです。
「KOMORO」の誇り高きクラフトマンは、最高の品質を求め、製品化までの一つ一つの工程の細部に至るまで一切の妥協をしません。
クラフトマンの質へのこだわり、磨き抜かれた感性、科学に基づいた細かな計算、その全てが、自然の営みと融合し「KOMORO」に魂を宿すのです。
「KOMORO」の挑戦は、日本のシングルモルトウイスキーの可能性を追求し、極める事でもあります。
長い刻を超えても輝き続け、新鮮さと普遍的な価値を持ち続けるウイスキー。
いつまでも人々の生活に素敵な彩を添えられる、そんなウイスキー造りを、私たちは目指します。
ウイスキーをこれから始めてみたい方(初心者)から、
知識をより一層深めたい方(上級者)まで、幅広くお楽しみいただける
体験型コースをご用意しております。
各コースの長さは約60分ほどです。
監修
エディー・ラドロー
Eddie Ludlow
(チーフエデュケーター)
IWSC審査員、ウイスキーラウンジ主宰の他、テイスティングの
バイブル書「Whisky - A Tasting Course」を執筆。
小諸蒸留所でお楽しみいただくには、
以下のいずれかのチケットが必要となります。
ご入場は、ご予約優先となりますので、
お越しの際は、あらかじめチケットをご購入下さい。
チケット① KOMORO Academy( 入場料+ウイスキーアカデミー)
2階のテイスティングルームで行われる
ウイスキーアカデミーにご参加いただけます。
様々なコースをご用意しておりますので、
ご興味があるものをお選びください。
また、ツアー(要現地受付)にご参加いただける他、
1階のバーやショップをご利用いただけます。
チケット② KOMORO Experience( 入場料+ウエルカムドリンク)
バーテンダーが作る小諸ならではのウェルカムカクテル
(ノンアルコールドリンクもございます)を
お楽しみください。
また、ツアー(要現地受付)に
ご参加いただける他、バーやショップをご利用いただけます。
交通機関でお越しの方
しなの鉄道 小諸駅より タクシーで約10分
北陸新幹線 佐久平駅より タクシーで約25分
※バスの運行情報については、本サイトのニュース欄や、SNSなどでご確認ください。
車でお越しの方
上信越自動車道 小諸ICより 約6km
384-0801 長野県小諸市甲 字軽石 4630-1
ウイスキーとは何か。
様々な視点から体験しながら楽しんで頂けるコースです。
ウイスキーの足跡を一緒に辿っていきましょう。
Tasting 101を受講することでウイスキーの嗜み方を身に付け、素敵なウイスキーライフを
送れるようになります。原材料や製造工程がウイスキーの風味にどのように影響しているのかを
フレーバーチャートやアロマホイールを活用し、3種類のウイスキーの香りや味わいを分析します。
もっと深く知りたい。
ウイスキーの製造工程をより具体的に学べるコースです。
ウイスキーの底知れぬ魅力を見つけにいきましょう。 Production 101を受講することでウイスキーの特徴を理解し、自ら好みのウイスキーを選定し
楽しめるようになります。製造における4つのパート「製麦、糖化・発酵、蒸留、熟成」について
映像や資料を用いて深く学んでいきます。
カクテルを上手に作ってみたい。
無限の可能性を創り出す魔法の一手間を体験するコースです。
バーテンダーと共にカクテルの扉を開けてみましょう。 Whisky & Cocktailsを受講することで普段バーでしか飲めない美味しいカクテルを自宅で
楽しめるようになります。プロのバーテンダーが講師となり、ウイスキーの味わいを
最大限に引き出すカクテルメイキングを学んでいきます。
熟成がウイスキーにもたらした奇跡とは何か。
熟成の仕組みを学びながら、テイスティングを楽しむコースです。
ウイスキーの「なぜ?」を一緒に解き明かしましょう。Art of Maturationを受講することでウイスキーが持つ多種多様な風味の特徴に
ついて理解が深まり、より多くのウイスキーを選定し堪能できるようになります。
ウイスキーの味わいや香りのカギとなる熟成について、樽の種類や仕組みと
熟成期間によって大きく変化していく過程を解明していきます。
ようこそウイスキー愛好家の皆様。
ウイスキー通には欠かせない“ピーテッドウイスキー”
を深堀していきましょう。 The Story of Peatを受講することでウイスキー本来の香りの強弱や味わいの濃淡をより
明確に感じ取ることができます。「一度踏み入れたら戻れない」と言われているピーテッド
ウイスキーについてその謎を紐解いて追求していきます。
更なるウイスキー体験をいくつか企画中